大幅な機能追加などが行われたので、先日リリースされたiPhoneのOS「iOS 14.5」にアップデートした人は多いはずですが、アプリ起動の際に新たな確認項目が表示されるようになったことにお気付きでしょうか。それが「トラッキング」可否をユーザーに求める確認で、意味わからずに承認や拒否をしていたりしないでしょうか。この「トラッキング」とはいったい何なんでしょうか?
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確認画面
iPhoneに表示されるのは「“〇〇(アプリ名)”が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡をすることを許可しますか? Your 〇〇(アプリ名)data will be used to deliver personalized promos and offers to you.」という確認画面で、選択肢としては「Appにトラッキングしないよう要求」と「許可」のいずれかを選ぶ必要があります。
トラッキングってなに?
ネットにおける「トラッキング」とは、例えばユーザーがどんなサイトやアプリを利用して、どんな検索をして、どんなページを見て、どんな商品を買っているかなどを追跡する事を言います。
例えばこんな経験をしたことがあると思うのですが、一時期気になる商品があってネットで調べまくっていたら、サイトに出てくる広告がそれに関連したものばかりが有線表示されるようになったとか、YouTubeを開くと検索もしていないのに好きなアーティストのPVや好きなアニメ関連の動画が表示されるという具合で、ユーザーとしては無関係なものが表示されるよりも便利ですし、情報提供者は広告のクリック率が増加したり商品が売やすくなるので、プライバシー情報が知らぬまに活用されているという反面、常に興味分野の情報が早く届きやすくなりその恩恵も受けているという事にもなります。
問題点
かといってその内容は個人情報であり、これがスマホやPCの向こう側という見えない場所でやりとりされているので日常的に嫌悪感を感じることは無いのですが、もしこれが実生活で行われたら、あなたがいつも見ているテレビ番組の趣味に合わせて家に広告が入ったり、好きな色を把握されていて服屋の店員が赤い色の服を積極的に勧めてくるとか、ベンツが欲しいなぁってネットで調べまくったり、ディーラーに行った翌日から家の前にベンツが駐車されだして購買意欲が高まってしまったりとか、こんな情報操作みたいなことが行われるのは流石に気持ち悪い事でしょう。ただ時代が進んでTVが双方向になったらYouTubeみたいに興味のある分野のCMが流れるようになるかもしれません。
企業のモラルが問われる
トラッキングという行為は企業側にとっては宝の山なわけで、ユーザーの行動や趣味・趣向から次に起こすべきアクションを先回りして提供することはもちろん、閲覧率の低いページやコンテンツのあぶり出しなどもできるので、使い方によっては利用者がより有益なコンテンツを楽しめる環境づくりも可能になってきます。
ただ逆に無意味に情報を蓄積していくことも可能なわけで、写真もアドレス帳もメッセージアプリもゲームも入っている万能なスマホから抜き出す情報からどんな人なのかを推測することくらいは簡単にできてしまうでしょうし、いくら断片的な行動記録であっても組み合わせによって重大な個人情報へと化ける可能性があります。
例えばここに2つのアプリが取得するトラッキング情報を並べてみます。この表示はiPhoneのAppストアでここ最近表示されるようになったプライバシー表示です。
左右共にデリバリーを主体としている会社のアプリで、注文を受けて決済し自宅まで届けてくれるというサービスを提供している会社です。
左の会社は購入履歴を主体として、IDはPCでのWebサイトなどでも連携できるようにと考えられ、使用状況はサイト内広告やおすすめ料理の表示、サイトの改善策などに活用されるのでしょう。
右の会社はどうでしょう。連絡先の個人情報が紐づくように設定されています。同じデリバリーの会社でもこうやってトラッキング内容も変わってくるので、やはり慎重な判断が必要になってくるかもしれません。
iPhoneで設定
トラッキングはアプリの起動時に確認画面が表示されるのですが、わからず承認や拒否をしている場合もあるので一度設定から確認してみましょう。方法は簡単です。
設定アプリを起動します。
「プライバシー」を選択。
「トラッキング」を選択。
トラッキングの設定画面になるので、「Appからのトラッキング要求を許可」を必ずONの状態にします。その下にアプリごとのON/OFFがあるので必要に応じて切り替えます。
個人情報に過敏な人は全部OFFでも良いでしょうが、私は動画サイトなど自分の好きな分野が反映されている方が助かるのでONにしています。自分の行動に合わせてON/OFFを切り替えましょう。
すべてOFFだと行動が反映されなくなる?
この設定をOFFをにしたからといって自分の趣味や行動が全く反映されなくなるわけではありません。AppleはトラッキングOFFでもパーソナライズされた広告表示がされる仕組みは提供するという発言もしているようですし、アプリ意外にもAmazonでの買い物やGoogle検索などもトラッキングの対象になっています。こういった情報提供もあって例えばGoogle Mapが無料で使えたりと有意義なサービスも受けられており、完全なる防御策はスマホの電話機能のみを使うくらいの覚悟が必要です。便利で無料のサービスも、こういった情報提供や分析からも成り立っていることも理解しておきましょう。