【USJホテル京阪ユニバーサルシティ】営業終了最後の日に宿泊 20年間のありがとう

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)目の前の商業施設「ユニバーサル・シティウォーク」に、一番乗りで「ホテル近鉄ユニバーサル・シティ」と共に同時オープンしたオフィシャル・ホテル「ホテル京阪ユニバーサル・シティ」が20年の歴史に幕を閉じ閉館しました。

私も何度か利用したホテルで閉館してしまうのはとても残念で、最終日に宿泊してきましたので歴史を残す意味合いもありご紹介します。

ホテル近鉄ユニバーサル・シティ

USJがグランドオープンした2001年3月31日、その約3ヶ月後である2001年7月1日にオフィシャル・ホテルとしてオープンしたのが、大阪の鉄道会社「京阪」が手掛ける「ホテル近鉄ユニバーサル・シティ」です。

客室数は330室で現在の他のオフィシャル・ホテルと比べると建物も小ぶりで部屋数も少ないのですが、すべての客室やフロア全体がコンセプトデザインになっていて、USJで遊んだ後もまだ夢が続いているような時間を過ごせる素敵なホテルです。

レトロな外観

ホテル外観は他のオフィシャルとは違ったモスグリーン系とイエロー系で、テーマパークのオフィシャルらしく大胆なツートンカラーは1900年代前半に流行したアールデコ調のデザインを取り入れたレトロデザインで、USJにある町並みの年代と合わせています。

突然の閉館告知

突如の閉館告知が行われたのは2021年3月8日。そもそもホテル京阪のオフィシャルはユニバーサル・シティウォーク内にと共に2棟あり、もともとオフィシャルホテルではなかった「ホテル日航ベイサイド大阪」を2008年に「ホテル京阪ユニバーサル・タワー」としてリブランドしたものです。京阪ホテルとしても駅を出てすぐ目立つ場所に位置し、当時としては最大の客室数を備え天然温泉も完備していたのでどちらかというとこちらに力を注ぐ感じになったのだと考えられ、ホテル利用が極端に減少したこの1年で手放すことに決めたのでしょう。

緊急事態制限で早まった閉館

ホテルの閉館は2021年5月5日のチェックインが最終で、翌5月6日のチェックアウトをもって営業終了と告知されていました。そのため私も最終日にと5月5日の予約をしていたのですが思わぬ事態が起こります。それが政府による緊急事態宣言の発令です。USJは無観客での運営が意味なく、事実上休業を強いられ4月25日〜5月11日までの予定で臨時休業が実施されています。それに合わせて近隣ホテルもいくつか休業を決定しホテル京阪も2棟共に休業が決定しました。USJの休業が5月11日まで。そうです本来最終日とされた5月6日が丸かぶりしているので事実上前倒しで休業開始日が閉館日となってしまったのです。

キャンセルの連絡、そして、、、

宿泊キャンセルの連絡はホテルのスタッフさんから電話でお伝えがありました。スタッフさんと「残念ですね」なんて会話を交わしつつ念の為「これって今からでも最終宿泊日の予約ってできるものなんですか?」と聞いてみたところ大丈夫ということでした。ただ最終日は宿泊客がその時点でゼロらしく、「自分たちのためだけにホテルをその日に動かすのってご迷惑になりますか?もしくは最終日が宿泊ゼロで何もなく閉館してしまうのは残念ですか?」と尋ねたところやはり気分的には残念だということで、そのまま予定を変更してもらい事実上の最終日に宿泊させてもらえるようになりました。

最後の宿泊

連絡の翌日、最後の宿泊日です。

USJの玄関口であるユニバーサル・シティウォークはまるで人類が消えてしまったSF映画のような感じで人がいるのは清掃スタッフや業者さんくらいで、ある意味緊急事態宣言のなか最も安全な場所かもしれません。

それでも安全を考慮し、ホテルや施設出入りでの消毒や体温計測、ホテル客室外でのマスク着用は徹底して実施。今回はホテル宿泊のみで予定は作らず客室にこもりっぱなしでお仕事です。

ロビー

今回で最後だと思うと寂しく感じるエントランスを通ってロビーに向かいます。次に訪れるときはここの「HOTEL KEIHAN」の文字も違う名前になり、壁の色も変わっているかもしれません。

最終日は結局予約は入らずなんと貸し切り状態だそうで、最後の最後に嬉しいやら恐縮するやらでそれでもサプライズな感じでした。いつもは人とすれ違うロビーも安全確保も踏まえスタッフは配置せず無人でした。

カウンターも無人で呼び出す形式で、最後のチェックインを済ませました。こういった写真も数年後には懐かし写真となることでしょう。

トリプル・ルーム

今回の宿泊で最後なので思い切って「記念に一番大きな部屋で」とお願いしたら快く部屋を変更して下さり、人数に見合わないのですが一番広い35平米のトリプルルームでゆったり過ごせることに。

お部屋は最上20階にある「フォレスト」がテーマのフロアで、最後のスタッフさんのおもてなしでパーク側の最上階、そして一番エレベーターから近いお部屋を選択して下さったようです。

フロアの壁に書かれたおもてなしの文章が本当に最後に歓迎してくれているようで嬉しさもあり寂しさもありな心境です。

貸し切りということでエレベーターもすぐ来るし、漏れたTVの音も子どもの笑い声もしないし、人とすれ違わないし、それでいて製氷機も自販機もテレビの映画チャンネルも通常通りだし、なんだかとっても不思議な感覚でした。

お部屋はフィルムをモチーフに映画の世界をイメージしたデザインで、20年という時間を感じさせないほど綺麗なお部屋でした。

お風呂は足を伸ばしても余るくらいの広々で、洗面台は外とバスルームにあるので贅沢すぎるお部屋でした。

窓からスーパーニンテンドーワールド

眺望は今となっては「ザ パーク フロント ホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」ができたので目隠しな部分が多いのですが、それでもUSJは見ることができて最新の「スーパーニンテンドーワールド」も見ることができましたよ。USJは休園中でも夜はパーク内の照明が付いているので窓の景色が寂しことはありません。

夜になると部屋の明かりが灯るので他のホテルの利用率がわかるのですが、右にある近鉄とパークフロントは当分の間休館中で真っ暗、左正面のタワーは一部屋だけ明かりが見えました。光っているように見えるのは写り込んだ光の反射です。左奥のユニバーサルポートヴィータも営業中ですが真っ暗です。

最後の朝食

静かな一夜を過ごし、せっかくなので朝食を予約しており1階のレストランへ。

愛想の良い男性スタッフさんが出迎えてくださり、窓際の一番良さそうな場所を選んでセッティングしてくれていました。

本来はバイキングなのですがこういう時期なので一膳出しでの提供です。むしろ私たちのためだけに食材を無駄にするのはもったいないので全然それで大丈夫。

飲み物だけはドリンクバーで、このときだけはオーダー制にしても問題無いくらいなのに、通常通り機械も数台稼働させていて最後までいつもと変わりなくおもてなしをしてくれているのはさすがと感じました。

スペシャルデザート

出された食事だけでとっても満足していたのですが「後からデザートお持ちしますので」と。で、来たのがこちら。

ちょっとしたランチのデザートみたいな見た目も贅沢なフルーツ&クレープで、大きなメロンとパイナップルも付いています。クリームブリュレも目の前で調理してくれて、聞いて見たら余っていたので最後なのでサービスでとおっしゃっていましたが、余る余らない以前にサービス精神でやってくれたことなのでしょう。もうこの朝食だけで宿泊代の元が取れた感じです。最後の最後にとても嬉しいプレゼントでした。

最後のお別れ

今回の宿泊予約は公式サイトからの予約でチェックアウトが1時間アーリーになり12時までの滞在でした。予定も無く帰るだけなので滞在もぎりぎりの12時まで過ごさせていただきました。そして12時になり最後のお別れです。

チェックアウトをカウンターで済ませるとコロナ禍で多くはないもののスタッフさんたちが集まりロビーでお見送りをしてくれました。私たちの背中を見て何を感じたのかはそれぞれだと思いますが、やはりこれで最後の宿泊客を見送った寂しさというのは感じられたのかもしれません。

後継は別の会社が運営

ホテル閉館後は取り壊すなど無く、「ヒルトン東京お台場」や「オリエンタルホテル東京ベイ」などを運営する「株式会社ホテルマネージメントジャパン」がリブランドし別ブランドのホテルとして運営され、オフィシャル・ホテルとしても視野に入れていく計画だそうです。現行のスタッフさんは別会社に移らずタワーの方へ移るそうで、スタッフも一新されてのニューホテルが登場しそうです。

ホテルの最終営業日に立ち会うことって人生で何度もあることではないですが、こうやって最後におもてなしをしてもらえたことはやはり心に残りますし、そのホテルは閉館しても系列施設が残る事もあるのでやはり次はタワーに行こうって思えたりします。

20年間支えてこられたスタッフのみなさんお疲れさまでした。そして最後のおもてなしをありがとうございました。次はタワーの方でよろしくお願いします。