【映画ウィキッド】ネタバレなし感想!ミュージカルとの違いを徹底比較

T-ジョイ博多「ウィキッド ふたりの魔女 」の告知ビジュアルがずらりと並ぶ

2025年2月19日、「ウィキッド ふたりの魔女 」のジャパンプレミアが東京で行われました。

この模様は札幌・名古屋・大阪・福岡の都市部にもライブビューイングで生配信され、運良く福岡のライブビューイングに当選し参加させてもらいました。

今回は、3月7日公開の映画を一足早く見ることができたので、ネタバレなしで、ミュージカルとの比較を中心にお伝えしていきます。

「ミュージカルは大好きなんだけど、映画版はどうなんだろう?」と思っている方には必見の内容です。

ジャパンプレミア in T・ジョイ博多

ライブビューイングが実施されたのは福岡県・博多駅隣接の阪急百貨店の中にある「T-ジョイ博多」

駅ビルの壁に取り付けられたT-ジョイ博多のロゴ

開場前の16時頃になると、ロビーは多くの参加者で賑わっていました。

「T-ジョイ博多」劇場入口

今回の内容はレッドカーペットの模様と舞台挨拶の生配信、その後、「ウィキッド ふたりの魔女 」の字幕版を先行試写会として上映するもので、16時30分から21時45分までのかなりの長丁場です。

「ウィキッド ふたりの魔女 」劇場入口前のLEDボード

今回はメイン会場である東京で当選した方々は、レッドカーペットは別の場所だったので、ライブビューイングでその模様を見ていたようです。

レッドカーペットはショッピングセンターの吹き抜け部分で実施されていて、屋外で赤い絨毯が敷かれた一直線の道を俳優さんたちが歩いて行くというのではなく、割と簡素な感じでした。正直、ここでアリアナ・グランデとシンシア・エリヴォが登場するのかと疑うほどでした。

アリアナ&シンシア降臨!ファンサービスに歓喜

前半で登場したのが、日本の吹替版のキャストの方々で、高畑充希さん(エルファバ役)、清水美依紗さん(グリンダ役)、kemioさん(ファニー役)、ゆりやんレトリイバァさん(シェンシェン役)。

写真撮影とファンサービスを終えたあと、待ち時間を挟んでついに主役の登場です。

本作の監督ジョン・M・チュウ、アリアナ・グランデ(グリンダ)、シンシア・エリヴォ(エルファバ)が登場すると悲鳴にも近い声援が起こりました。

日本人吹き替えキャストに比べるとファンサービスは非常に長く、サインやちょっとした会話、本来は写真撮影禁止でしたが、彼女たちがスマホを手に取りツーショット撮影をしてくれる姿も見られ、スクリーン越しにも3人の人柄の良さが伝わってきました。

この後に劇場内に場所を移し、舞台挨拶の様子も生配信されました。

アリアナとシンシアは想像以上にユーモラスな方々で、通訳の方への配慮を見せるなど、見ていてとても気持ちの良いものでした。

この舞台挨拶を見ただけでも、この2人が適役であることの確信が持て、安心して映画を楽しめると感じました。

なおジャパンプレミアの様子は、現在YouTubeでも配信されています。


ここからは先行試写会で先に見ることができた「ウィキッド ふたりの魔女 」について、劇団四季のミュージカル版との比較を交えつつ、ネタバレなしで感想を書いていきます。

今作は2部作に分かれている

今作はミュージカル映画ということでもわかるように、ミュージカル版「ウィキッド」を映画化したものです。そもそも原作はあるのですが、原作はミュージカル版とかなり違っていると言われており、制作陣は原作よりもポピュラーなミュージカル版を選んだようです。

今作は2部作の映画で、パート1となる「ウィキッド ふたりの魔女 」では、ミュージカルの休憩までの前半部分が描かれます。

監督は一作にまとめたかった

監督はインターミッションを挟んで一作にまとめたかったようですが、それでは物語が圧縮され、抜け落ちる部分が出てきます。2部作として各パートに時間をかけたのは正解でしょう。パート1ではグリンダとエルファバの心の成長、2人の関係性、そして「良い魔女」と「悪い魔女」がいかにして誕生したのかが繊細に描かれており、繰り返し見ることで後半への理解が深まるのは大きなメリットです。

ミュージカルファン必見!映画版の魅力

ミュージカル「ウィキッド」はロングランで公演が続けられており、日本でも劇団四季が上演を行い、現在は大阪で再演されています。

私も先日、劇団四季の再演を鑑賞してきたばかりで、記憶がまだ鮮明なうちに映画版を見ることができたのはとてもラッキーでした。

ミュージカル「ウィキッド」は熱狂的なファンが多く、10回以上劇場に足を運ぶ人もいます。では、そのような熱烈なファンは映画版も楽しめるのでしょうか。

ご心配なく。むしろ映画版も合わせて見ることをおすすめします。

ミュージカルナンバーは全て登場

ミュージカルを観たことがある人ならすぐに気づくでしょう。そう、オープニングで高らかに演奏される壮大なテーマソングが映画でも聞けます。しかも映画の方が臨場感があることに気づくはずです。

ミュージカル版の作詞・作曲家、スティーヴン・シュワルツの名曲を、23人編成のオーケストラを5倍以上も上回る125人編成で演奏しており、鳥肌が立つほどの豪華な演奏が楽しめます。

ミュージカルナンバーの構成は映画も同一で、1曲も漏れることなくフルコーラスで歌われるので、大好きだったあの曲がカットされるという心配はご無用。むしろ曲によっては新たなアレンジが加えられているものもあり、ミュージカル版との違いを楽しむこともできます。

ウィキッドのナンバーは心情を歌い上げるものが多く、ミュージカルでは歌唱後自然と拍手が起こります。映画ではさすがにそうはいきませんが、思わず拍手したくなるほどの出来栄えです。ちなみに試写会のラストシーンでは拍手が起こりました。他の会場でも同様に拍手が起こったのではないでしょうか。

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より掘り下げたストーリー

ミュージカルでは時間、場面転換、キャストの人数など、制約のある中でストーリーを紡いでいきます。そのため、どうしても描ききれないシーンが出てくるのは当然です。

映画では、過去の回想やカット割り、自由な場面転換、見せたい部分のクローズアップなど、「映画ならではの魔法」とも言える手法が可能です。今作でもエルファバの幼少期が描かれるなど、ミュージカルのシーンを掘り下げて補完する場面が多く見られます。

繊細に描かれるオズの世界

映画化の楽しみの一つは、シーンがリアルに描かれることです。ミュージカルでは抽象的な小道具などで場面を作りますが、映画では「その場所そのもの」を描けます

ミュージカルの前半パートでは、シズ大学を中心に、マンチキンランドとエメラルド・シティの場面などが登場します。

魔法学があったり、人間の言葉を話す動物が講義をしていたりする「シズ大学」は、ハリーポッターのホグワーツ城ほど現実離れしておらず、かと言って、こんな大学は現実には存在しない、ちょうど間ぐらいの感じで登場します。

エメラルド・シティで楽しみなのは、人気の見世物「ウィゾマニア」のシーンです。ミュージカルでも軽快な音楽と鮮やかな緑、そして魔女の二人が初めて見る「華やかな世界」に没入できますが、映画ではさらに多くの時間が割かれ、「自分もこの世界に行ってみたい!」と思わずにはいられないシーンです。

ここではミュージカル関係者が多数カメオ出演しており、ブロードウェイでエルファバとグリンダを演じたイディナ・メンゼルとクリスティン・チェノウェスも登場するので、ぜひ見つけてみてください。

2時間40分という時間の長さは?

ミュージカルは前・後編合わせて約3時間ですが、映画では前半パートを描く今作だけで2時間40分あります。

映画としては長尺で、トイレが心配な人もいるかもしれませんが、むしろもっと見たいと感じるほど、あっという間でした。

私はトイレが近く、映画鑑賞中は常にトイレのことが気になりますが、今作に関しては、気づけば映画に没頭しており、トイレのことなど忘れていました。

もちろん、途中で席を立つ人もいましたが、ほとんどの人が映画に集中していたと思います。

グリンダ?ガリンダ?名前の秘密

良い魔女の名前は「グリンダ」として知られていますが、映画序盤では「ガリンダ」という名前で登場します。

映画はブロードウェイミュージカルを原作としており、その中でも前半は「ガリンダ」として登場します。劇団四季での上演では、なぜかこの部分が改変され、最初からグリンダという名前で登場しますが、映画を見る限り、劇団四季でもガリンダからグリンダへの流れはカットしない方が良かったと感じました。

ガリンダの名前がなぜ変わるのかは、ぜひ劇場でご確認ください。

アリアナとシンシアの演技は?

一番気になるアリアナとシンシアの演技ですが、まさに「グリンダとエルファバそのもの」で、グリンダの八方美人で楽天的な性格、時折見せる天然の可愛らしさ、そしてスイッチが入った時の真面目な表情をアリアナが見事に演じています。

特に劇中の所作は必見で、エルファバの後ろに映り込んでいるシーンでさえ、まさにグリンダそのものの動きが見られ、彼女以外には考えられないほどでした。

シンシアは、エルファバの優しく騙されやすい性格、傷つきながらも強く生きようとする姿、心の拠り所を探し続ける繊細な心情を見事に演じ、映画を見ている間、エルファバの心の痛みがひしひしと伝わってきました。

このキャスティングに不満を持つ人は少ないでしょう。

脇役と言えない人たち

魔女の二人以外にも、多くの人々が登場します。誰一人無駄な存在はなく、ミュージカルナンバーの歌唱中も場面を彩り、映画の華やかさを引き立てています。

映画だからこそ実現できているシーンですね。


ミュージカル映画は舞台と異なり、突然歌い出すのは日常的には不自然であり、このジャンルを苦手とする人も一定数います。

今作もやはり突然歌い出す場面はありますが、違和感は思ったほどではありません。演出の妙技だと思いますが、シーンを歌で表現することで心情を分かりやすく説明しており、長々と話すよりもむしろ歌ってくれた方がすっきりします。

今作はミュージカルを知らない人でも楽しめるように作られており、ゼロから物語を構築しているので、ストーリーとともに歌も楽しめるでしょう。

映画化によってさらに分かりやすくなった「ウィキッド ふたりの魔女 」。3月7日公開ですので、ぜひ音響システムの良い劇場でご覧くださいね!

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