【牛乳】実は4種類もあった!?知らないと損する牛乳の秘密

1 Lの紙パック牛乳を眺めている女性

スーパーで売られている「牛乳」、何種類あるかご存知ですか?

スーパーで牛乳を買う時、何を基準に選んでいますか?値段でしょうか?それとも成分でしょうか?
実は、普段何気なく飲んでいる「牛乳」ですが、成分によって4種類に区別されているってご存知でしたか?

今回は、身近だけど意外と知らない牛乳の種類や、低脂肪牛乳が安い理由など、牛乳にまつわる疑問を分かりやすく解説していきます。

牛乳は4種類に区別されている

1 Lの牛乳パックが4本並んでいる

牛乳は含まれる成分によって大まかに4種類に分けられます。

牛乳

市販されている牛乳の中で、成分無調整のものは「牛乳」と表示されています。

牛乳の中でも、特に厳しい基準をクリアした「特別牛乳」というものがあります。乳牛の飼育環境や搾乳方法、製造施設の衛生管理など、様々な条件を満たした特別な牛乳で、日本ではわずか4カ所でのみ製造が許可されています。

「牛乳」と表示されているものは、成分無調整なので、牛乳本来の風味を味わうことができます。ただし、季節によって牛の食べる牧草の種類が変わるため、同じ銘柄でも味が微妙に異なることがあります。

イオンネットスーパーでの参考価格は1,000mlで257円前後です。

成分調整牛乳

生乳(乳牛から搾ったままの手を加えない乳)から、水分、乳脂肪分、無脂肪固形分などから一部を除去したものが「成分調整牛乳」に分類されます。

牛乳よりも低カロリーで、あっさりとした飲み口が特徴です。栄養価は牛乳とほとんど変わらないのに、価格が安いというメリットもあります。

カロリーが気になるけど、牛乳の栄養はしっかり摂りたいという方におすすめです。

イオンネットスーパーでの参考価格は1,000mlで246円前後です。

低脂肪牛乳

生乳の乳脂肪分のみを、0.5%~1.5%の間になるように除去されているのが「低脂肪牛乳」です。

牛乳よりも脂質が少なく、すっきりとした飲み口です。脂肪分以外の栄養素は牛乳とほとんど同じで、価格もお手頃です。

コクや濃厚さは牛乳に劣りますが、価格を抑えたい方や、カロリーを控えたい方におすすめです。

イオンネットスーパーでの参考価格は1,000mlで203円前後です。

無脂肪牛乳

生乳からほとんどの乳脂肪分を取り除き、0.5%未満にしたものが「無脂肪牛乳」です。他の牛乳と同じく栄養素はほとんど変わらず

牛乳と比べると、脂質はほぼゼロで、水のような飲み口です。しかし、脂肪分以外の栄養素は牛乳とほとんど変わりません。

脂質を極力抑えたい方におすすめです。ただし、牛乳本来のコクや風味は薄くなっています。ある程度慣れも必要で、苦手な方もいるかもしれません。

イオンネットスーパーでの参考価格は1,000mlで203円前後です。

「〇〇牛乳」が消えた理由とは?

コーヒー牛乳の紙パックパッケージ

昔は「コーヒー牛乳」「フルーツ牛乳」のように、「牛乳」という名前が入った飲み物が普通に売られていました。

ところが、今では「〇〇牛乳」という名前の飲み物は一切販売されていません。実は、法律で「牛乳」という名前を付けてはいけないことになっているのです。

なぜ「牛乳」という名前が使えなくなったのでしょうか?それは、2000年に起きた雪印集団食中毒事件がきっかけです。この事件をきっかけに、生乳以外のものが混ざったものは「牛乳」と呼べなくなってしまったのです。

世間に衝撃を与えた「雪印事件」

2000年、雪印乳業で起きた食中毒事件は、戦後最大規模の食中毒事件として、社会に大きな衝撃を与えました。

事件の発端は、雪印乳業の北海道工場で起きた停電でした。停電によって貯蔵タンクの冷蔵機能が停止し、脱脂乳の温度が上昇。その結果、黄色ブドウ球菌が増殖してしまったのです。

高温にさらされた脱脂乳は本来廃棄すべきものでしたが、殺菌処理をして脱脂粉乳として製造されてしまいました。工場側も細菌の異常発生を把握していましたが、責任を恐れて公表せずに出荷してしまったのです。

こうして製造された脱脂粉乳には、黄色ブドウ球菌自体は死滅していましたが、毒素が残ったままになっていました。この「汚染脱脂粉乳」は、他の工場に送られてしまったのです。

そして集団食中毒が発生

「汚染脱脂粉乳」は、主に「のむヨーグルト」の製造に使用されました。そして、それを飲んだ人々から次々に食中毒の症状が報告され、最終的に14,780人もの被害者を出す、戦後最大の食中毒事件となってしまったのです。

この事件をきっかけに、牛乳の製造過程や安全性が改めて注目されるようになりました。消費者の間で、生乳を原料とした加工品に対する不信感が高まり、「コーヒー牛乳」や「フルーツ牛乳」といった商品名が紛らわしいと声が上がるようになったのです。

こうして、消費者にもわかりやすいように、生乳100%のものだけに「牛乳」という名称を使うことができるようになったのです。

手間をかけているのに安い「低脂牛乳」の謎

天秤に乗せられた1 Lの牛乳パック

低脂肪牛乳って、普通の牛乳より50円くらい安いことが多いですよね。乳脂肪分を取り除くには、特別な技術や設備が必要なはずなのに、なぜ安いのでしょうか?

例えば、アルミ板を加工して製品を作る場合、加工前のアルミ板より、加工後の製品の方が高くなるのが普通ですよね。なのに、なぜ低脂肪牛乳は普通の牛乳より安いのでしょうか?

その答えは「別の利益があるから」

低脂肪牛乳を作るには、遠心分離機を使って乳脂肪分を取り除く必要があります。

実は、取り除かれた乳脂肪分は捨てられるのではなく、バターやチーズなどの乳製品を作るために使われているんです。

つまり、低脂肪牛乳を販売するだけでなく、乳脂肪分を売ることで、もう一つ利益を得ているんですね。だから、低脂肪牛乳は普通の牛乳より安く販売できるというわけです。


「牛乳の方が栄養価が高そうだから、高くても牛乳を買っていた」という人もいるのではないでしょうか?

実は、低脂肪牛乳も牛乳も、乳脂肪分以外の栄養素はほとんど変わりません。ただ、牛乳に比べると、クリーミーさやコクが少し減ってしまうというデメリットはあります。

インターネット上では、「低脂肪牛乳は体に悪い」という情報を見かけることもありますが、それは誤解です。

結局、牛乳と低脂肪牛乳、どちらが良い悪いということではありません。自分の好みや健康状態、そして家計の状況に合わせて、上手に飲み分けるのが一番です。