スマートフォン(以降スマホ)は現代のライフラインとして欠かせないものとなり、役所の手続きなどでもスマホが積極的に活用され、災害時にはとにかく電波とバッテリー残量さえあれば使えるので、安否確認や情報収集、避難所の確認などで大いに役に立つデバイスです。
世界のスマホ台数以上に普及している「USB充電器」と「USBケーブル」。皆さんも一家に1つだけでなく、複数個所有しているのではないでしょうか。一昔前の平成の頃はどのスマホもUSBアダプターとUSBケーブルが同梱されており、機種変するたびにUSBアダプターとUSBケーブルが余っていくという現象が見られました。今では環境への取り組みが考慮されると共に、技術力の向上で以前のUSBアダプターやUSBケーブルを引き続き利用しても安全に利用できるよう基準が満たされた設計がなされており、故障や断線してから買い換えるというサイクルになっています。
この記事のもくじ
充電器とケーブルの性能は把握してる?
ここを読んでいただいてる方の中には、どこかで買ってきたよくわからないメーカーのUSBアダプターと、100均で購入した税込110円の充電ケーブルで毎日スマホを充電してる方がいるかもしれません。そういう方は、本来スマホが充電できるスピードの1/10程度でしか充電できていない可能性があり、ちゃんと理解して充電ツールを揃えていれば1時間程度で満充電にできるのに、寝る前に充電を始めて朝起きてやっと100%になっている、あるいは充電しながらタブレットを操作しているのに充電が追いつかずバッテリー切れになってしまう、といった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
どちらかが性能が低いと威力を発揮できない
スマホの充電は、スマホ本体、USB充電ケーブル、USB充電アダプターの3つで構成されます。いずれかのデバイス性能が低いと、充電の威力を発揮することができません。
例えば最新の「iPhone 16 Pro Max」は、公式には発表がされていないものの、ネットの検証記事によればUSB-Cによる接続で最大30 ワット(以降 「W」と表記)程度での充電が可能で、背面のポートを利用したワイヤレス充電であれば公式で25 Wとされています。私が所有しているGoogle Pixel 9 Pro Xlだと同じく非公表で有線が37W程度、ワイヤレス充電は23 W程度とされています。
スマホが30 W程度で充電できる性能を持っていても、USBアダプターが最大5 W、USBケーブルが最大2 W対応の製品であればどう頑張ったところでスマホには2 W分の電気しか送られないことになります。
「iPhone 16 Pro Max」の公式カタログスペック値では、20 W以上のUSBアダプターとそれ以上のUSB-C充電ケーブルを用いることで、約30分で最大50 %充電が可能と公表されており、もし2 W分の電気しか送られない充電構成だった場合、50 %まで充電するのに単純計算で5時間程度かかることになってしまいます。
スマホをプール、USBアダプターを水道管、USBケーブルを水道の蛇口に置き換えて考えてみましょう。プールに5000 Lの水を貯めたいのに、水道管が1秒間に20 Lの水を流せる太さでも、蛇口が1秒間に2 Lしか水を流せなければ、蛇口の性能が悪すぎてなかなか水がたまらないですよね。充電も同じで、ケーブルやアダプターの性能が低いと、充電速度が遅くなってしまうのです。
ワット数が見えたら便利だけど、、、
スマホの充電中の画面に「20 W」など、今充電されているワット数が表示されれば一番便利なんですが、基本的にはバッテリーのパーセンテージ表示しかされません。Amazonなどで「USBチェッカー」というものも販売されており、USBアダプターとUSBケーブルの間に接続することによって充電されているW数やその他の情報も表示してくれる便利なものもあります。
私もこれを1つ持っていて、充電がおかしい時に原因がUSBアダプターなのかUSBケーブルなのかを突き止めたり、たくさん保有しているUSBケーブルの性能を確かめるなどで利用していますが、普通の人にはこんなものいらないですよね。
充電器に表示されたらいいのに
先ほども触れましたが、スマホの画面に充電中のワット数が表示されれば便利ですよね。しかし、USB充電アダプターにW数が表示されれば、スマホのように液晶画面がない製品でもW数の確認ができて、さらに便利です。きっと同じことを考えている人は世界中にたくさんいるだろうと思い、Amazonを探したら、やはりありました!
業界初ディスプレイ搭載充電器
そこで昨年購入したのが、カラーLCDディスプレイ搭載のUSB充電器です。性能が良かったため、現在2台所有しています。
写真でもご覧いただける通り、されたそれぞれのUSBケーブルの上部には「ボルト(V)」「アンペア(A)」そして何度も出てきている「ワット(W)」が色分けされて分かりやすく表示されています。
ボルト(V)って何?
「ボルト(V)」は電圧を表す単位で、電気を押し出す力の強さを表しています。よく水道で例えられるのですが、水圧に相当するのがVで、水圧が高い(=電圧が高い)ほど水が勢いよく出る(電流が流れやすくなる)と表現されます。
アンペア(A)って何?
「アンペア(A)」は電流を表す単位で、電気の流れる量を表しています。水道で例えると水道管の中を流れる水の量に相当するのがAで、水道管が太い(=電流が大きい)ほど多くの水を流すことができる(多くの電気を流すことができる)と表現されます。
ワット(W)って何?
「ワット(W)」は電力を表す単位で、消費される電気エネルギーの量を表しています。もう少し単位は変わるのですが消費電力という言葉だと聞き馴染みがあると思います。水道で例えると水の勢いに相当するのがWで、水圧が高く(電圧であるVが高い)水道管が太い(電流であるAが大きい)ほど出てくる水の勢いが強い(多くの電気エネルギーが消費される)と表現されます。
W数は純粋にボルトとアンペアの掛け算になっており、もし5 Vの電圧で2Aの電流を流すと5×2で10 Wの電力という計算になります。
余裕の180W充電器
電力表示ができてどんなに便利だったとしても、結局はW数が小さければ意味がありません。でもそこは大丈夫!余裕の180 Wまで対応の充電器で、最新のiPhoneでも高速で3台同時充電も可能(各ポートへの電力割り振り上限があるため最大値にならない可能性あり)で、最近のUSB-C充電対応のノートパソコンを65 Wずつで充電することも可能。とにかくポートの合計値が180 Wに収まっていれば大丈夫ということです。1つのポートから180 Wの電力が出るということではないのでそこだけは注意が必要です。
各ボートの出力
USB-Aポート
内蔵されているUSBポートは、USB-Aタイプが2ポートでこちらはQC 3.0対応。QCは「Quick Charge」の略で、スマホやタブレットをより高速に充電できる規格です。各ポートの最大出力は18Wで、同時使用でもそれぞれ最大18 Wが出力されるようになっています。
USB-Cポート
USB-Cポートは3ポート搭載で、左側2つがPD規格、右側1つがPD 3.0規格です。PDは「USB Power Delivery」の略で、USB-Aタイプよりも大きな電力を出せるUSB-Cタイプを、さらに高出力化できる規格です。PD 3.0は電圧と電流を細かく制御することで、接続されたデバイスのバッテリー特性に合わせ、発熱を抑えながら高速充電を効率的に行えます。各ポートの最大出力は65Wで、2ポート同時使用で65 Wずつ、3ポート同時使用では65 W×2ポート+45 Wという構成になるようです。ここまでの高出力を必要とするケースは少ないため、スマホ3台をUSB-Cポートに接続すれば、3ポート同時使用でも最大スピードで充電できるでしょう。
ワイヤレス充電も搭載
高出力の充電ポートが5つ搭載されているだけでも使い勝手が良いのですが、天面にはワイヤレス充電ポートも搭載されており、iPhone含め多くのスマホで採用されているQI(チー)対応のデバイスであればスマホに限らずワイヤレスイヤホンなども充電可能です。
ワイヤレス充電の最大出力は15 Wで、こちらに関してはLCDディスプレイは非搭載となっています。
USBケーブルのW数も見直しを
この充電器を購入してもUSBケーブルのW数が低いと充電スピードは全く上がりません。Amazonでも60 W対応のUSBケーブルはたくさん販売されているので、レビューなどを見て実際に表記通りのスピードが出るものを購入すれば問題ありません。私のおすすめは60 Wで3 mの長さがありケーブル部の作りもしっかりしている下記のUSB-Cタイプのケーブルで、2本セット1500円前後でレビュー評価も4600以上ついている人気のケーブルです。
充電アダプターは、それほどお金をかけなくても良いと適当なものを使っている方も多いかもしれません。しかし、最新のスマホを購入したにもかかわらず、充電速度が遅いと、その性能を十分に活かせません。電波スピードにこだわるように、充電速度にもこだわってみると、想像以上に快適になります。むしろ、早い充電器を知ってしまうと、もう遅い充電器には戻れなくなるでしょう。最近ではスマホ以外にも、美容家電やおもちゃなどでもUSB-C端子を搭載しているデバイスが増えてきており、それぞれの充電速度を確認するのも楽しいものです。ぜひこの機会に、高出力の充電器の購入を検討してみてはいかがでしょうか。