【アダプティブ&バイパス充電】とは? スマホのバッテリー寿命を劇的に延ばす最新技術

女性が持っているスマホのバッテリーが0%になり焦っている様子

スマホを長く大切に使っていきたいというのは誰もが持っている願いです。

常に電源が入りっぱなしのスマホは、2年も経てばバッテリーが劣化し、性能が落ちてしまい、スマホの買い替え時がやってきます。

最近のスマホは、バッテリー劣化を極力抑えるためのプログラムが取り入れられており、Googleが発売するPixelシリーズでも、昨年末にバッテリー充電に関するアップデートがありました。

それが「アダプティブ充電」と、神機能✨と言われる「バイパス充電」です。

今回は、アダプティブ充電バイパス充電について詳しく解説していきます。

スマホの寿命を延ばす「アダプティブ充電」とは?

80%で充電が止まっている画面表示をしているスマートフォン

まずはアダプティブ充電について詳しく知っていきましょう。

GoogleはAndroid 15の充電機能における新機能の1つとして、2024年12月のアップデートで、設定アプリの「バッテリー」項目内に「充電の上限:80%」という設定項目を追加しました。

この機能は満充電を80%までに抑えることで、100%まで充電するよりもバッテリーを長持ちさせることができます。

知っておきたい!スマホバッテリーの「サイクル劣化」

スマホのバッテリーとして用いられている「リチウムイオンバッテリー」は消耗品です。充放電を繰り返すことで徐々に劣化する性質を持っており、これを「サイクル劣化」といいます。

充放電を繰り返すことで、バッテリー内部で化学変化が起こり、電気を流す役割を担っているイオンの数が減少します。そのため、電気をためる力が弱まってしまうのです。

現在スマートフォンで多く使われているバッテリーは500サイクル程度と言われています。バッテリーが空の状態から100%まで充電し、再度0%まで使い切ると「1サイクル」としてカウントされます。実際の使い方ではバッテリーが0になる前に継ぎ足し充電をするので、各メーカー独自の計算方法で1サイクルの値を決めています。

Google Pixelでは0~100%までで1サイクル、50~100%までだと0.5サイクル、0~80%までで0.8サイクルとしていて、Pixel 8 Proまでは約800回までの充電サイクル、Pixel 8a以降では約1,000回までの充電サイクルで使用が可能とされています。

バイパス充電とは?

「充電の上限:80%」機能が追加された時、しばらくしてユーザーが発見したのが「バイパス充電」機能で、後にGoogleが公式に実装したことを認めました。

バイパス充電は簡単に説明すると、バッテリーの充電が完了した後、バッテリーを介さずにスマホ本体に直接電気を流す機能です。

知って納得!「神機能」と言われる理由

バイパス充電はスマホをよく知るユーザーであれば「神」と言われるほどの機能です。

充電しながら動画を見たり、ゲームをした時、スマホが熱くなる経験をした方は多いはずです。

スマホは処理の重い動作をするほど多くの電力を必要とします。そのため、動画の連続視聴や多くの計算処理を使ったゲームなどでは、バッテリーへの負荷が高まり高温になってしまうのです。

バッテリーが熱くなると、スマホ本体は画面の明るさを暗くしたり、動作を遅くしたりして、温度を下げようとします。

高温を嫌うバッテリーにとって、この使い方は寿命を縮める大きな要因となります。

バッテリーをバイパス!だから熱くなりにくい

バイパス充電が開始されると、今までバッテリーに流れていた電気はストップし、スマホ本体への直接給電へと切り替わります。

本体に直接給電されるため、高度な処理のゲームを行っていても熱くなりにくく、動作もスムーズになります。バッテリーへの給電はストップしているので、USBケーブルを差し続けていてもバッテリーへのダメージは少なくなります。

これを理由に、スマホアプリでゲームをするユーザーなどからは「神機能」と歓迎されているのです。

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数少ないバイパス充電対応スマホ

OKとNOの2つのワゴンにスマホが積まれており、NOのワゴンの方がたくさんスマホが積まれている

こんな便利な機能なので、全てのスマホに搭載した方がいいのですが、バイパス充電に対応しているスマホは少なく、Google Pixelシリーズは公式に発表はされていないものの、ユーザーの調べではPixel 6以降が対応しているようです。

他のメーカーでもGalaxyやXperiaなど、一部のハイエンドモデルやゲーミングスマホで採用が見られます。

iPhoneはまだ未実装の様子

iPhoneユーザーの方も気になるかと思いますが、現時点ではiPhoneシリーズはどのモデルでも未実装のようで、公式な情報はありません。

昨年発売された新型iPad ProとiPad Airには、充電を80%で停止させる最適化機能が搭載されたようなので、そのうちどこかのタイミングでは導入はされることでしょう。

バイパス充電の見分け方

2台のスマホを両手で持ち悩んだ表情をしている女性

Google pixelであればバイパス充電の有無は、バッテリーアイコンで簡単に判別することができます。

通常の充電中は乾電池の中に雷マークが付いたアイコンです。

バイパス充電がまだ開始されていないバッテリーアイコン

80%を超えてバイパス充電が始まると、充電中のアイコンの右下に盾のマークが重なります。バッテリーを守っているという意味なのでしょう。

バイパス充電が開始されているバッテリーアイコン

バイパス充電中はW数が目まぐるしく変化する!?

充電中の電力値が見られる我が家の充電器では、バイパス充電が始まると電力が目まぐるしく変わり安定しなくなります。

充電器の電力表示が目まぐるしく変わっている様子

これは充電が異常になっているのではなくて、バイパス充電特有の現象で、アプリ動作の負荷が変わるたびに使う電力が変化しているためです。

もしこれがバッテリーから給電していたとしたら、充電するための電力はある程度一定でバッテリーに送られるので、電力数値は少しずつ増減するだけで、こんなにコロコロと変化することはありえません。

バイパス充電の効果

ダッシュボードに設置されたスマートフォンが、太陽の日差しで高温になり湯気が出ている

所有する「Google pixel 9 Pro XL」では8月22日の購入日以来、2月16日現在までのサイクル数は118回でした。所有日数は179日目になるので、1日あたり約0.66サイクルに抑えられています。

この機種のサイクルは上限は1,000回とされているので、単純計算で4年は使えるという計算になります。当然それ以外の要因でも劣化は起こるので、1年間引いたとしても3年くらいはある程度安心して使えるのではないでしょうか。

車での使用も安心

最近ではスマホをカーナビ代わりに使う人も増えています。スマホでのカーナビは通信と表示を常時行っているため、バッテリーの消費が激しく、長時間使用するとバッテリーに大きな負担がかかります。

常時充電されるためバッテリーの温度は上がりやすく、それに加え、フロントガラスの下にスマホを設置する人も多く、直射日光による温度上昇で、余計バッテリーに負担をかけています。

私もスマホをカーナビとして多用しており、旅行の回数も多く、目的地まで8時間かかることもよくあります。バイパス充電がなければ、スマホの寿命はかなり縮んでしまうでしょう。


バイパス充電は、「80%までの充電」時にのみ使える機能です。スマホが常時手元にあるこの時代では100%まで充電しないのは不安にもなりがちです。

慣れてしまうと80%もあれば困るシーンはほとんどなく、むしろ長い目で見ると、バッテリーの劣化が抑えられ、1~2年後も長い時間バッテリーが使えるメリットの方が大きいと言えます。

最近のスマホの選び方は、カメラやAI機能がメインとなっていますが、こういった充電に関する面でも十分に選択肢の一つとなるので、長く1台のスマホを使い続けたい人は、バイパス充電対応機種を選択肢にしてみるのもおすすめです。