大阪西区に本社を置く創業90年の企業が作り続けるエコカイロが世界中で再び注目を集めています。
その名も「ハクキンカイロ」。
この記事のもくじ
リサイクル思考で再び需要拡大
ハクキンカイロが発明されたのは1923年。
イギリスのプラチナ触媒式ライターを参考に生み出されれました。
ジッポライターが発売されるよりも9年早い誕生です。
寒冷地でも使用できるなどの事から南極観測隊の常備品にも利用されるなどして知名度が高まり、昭和40年台にはどの家庭にも1つはあるような生活に密着した商品でした。
ところが使い捨てカイロが登場したことでシェアは一気に奪われますが、近年海外諸国におけるゴミ問題、エコ、リサイクル思考などから、繰り返し使えるエコカイロとして再び注目を集めることとなり、日本でも再び人気が加熱しています。
燃料はベンジン
燃料は「ベンジン」。
炭化水素で揮発性の高い可燃性液体で、現在のベンジンの活用法としてはシミ抜き用途での利用が一般的に知られています。
ただしハクキンカイロに使うベンジンはシミ抜き用途とは性質が異なるため兼用して使うことはできません。
必ずカイロ用に推奨された製品を使う事が推奨されます。
燃やさず安全な仕組み
可燃性の液体を用いているので危険なイメージがありますが、ハクキンカイロはベンジンを燃やしているわけではありません。
その秘密はプラチナ触媒と言われる技術で、気化したベンジンが触媒と接触して発熱する科学原理を応用しています。
加熱をスタートさせるためには火口をライターなどで5秒程度加熱する必要はありますが、あくまで熱を発生させる目的であり着火させるわけではありません。
そのため安心・安全に使用することができるのです。
エコな理由
ハクキンカイロがエコで再注目された理由は複数あって、気化し触媒で化学反応を起こしたベンジンは炭酸ガスと水に分解され環境に優しいエネルギー活用だと言えます。
本体は繰り返し使えるロングライフ商品で、物理的な破損や使用者が破棄しない限りはずっと使い続ける事が可能で、加熱する火口も初代の商品から互換性があり交換することで引き続き本体の利用は可能になっています。
使い捨てカイロとの違い
使い捨てカイロとの決定的な違いは「捨てずに繰り返し使えること」です。
使い捨てカイロの保温時間がだいたい8〜12時間で、後半になってくると保温性能も低下してきます。
それに比べてハクキンカイロの保温時間はたった25ccのベンジンでなんと24時間。
しかも使い捨てカイロよりも18倍も暖かく、本体直接では熱すぎて付属の袋が必要なほど。
また使い捨てカイロが外気温が低すぎると性能がかなり低下するのに比べ、ハクキンは氷点下40度でも性能を発揮する高性能。
低燃費で高カロリー、そして繰り返し使えるのにお値段は3000円台と良いとこずくめの商品です。
どうやって使うの?
ハクキンカイロは大人の手のひらくらいの大きさ。
写真では小さく見えるので現物を見た感想は「思ったより大きい」です。
でもこれくらいのサイズが無いと身体を暖めるのにはちょっと不足するかも。
商品セットは本体・カップ・専用袋・説明書。
フタを取ると火口があり、ここをライターで5秒ほど炙ります。
ベンジンの注入
燃料となるベンジンを注入していきます。
ベンジンは揮発可燃性なので間違ってもタバコを吸いながらとか、キャンプで焚き火の近くとかで作業するのは絶対NGです。
ベンジンは専用品か推奨品を必ず使いましょう。
非推奨のベンジンは触媒の寿命を縮めるそうですよ。
以下はオススメのベンジンです。
火口を引き抜きます。
ここにカップを差し込みます。
カップはクルクル回転できるので必ずカイロと平行にしておきます。
ベンジンをカップの上の線まで注ぎましょう。
上の線で24時間なので、短縮したい場合は量を減らします。
カップをくるっと回すとベンジンが中に注入されていきます。
簡単だけど便利な仕組みです。
カップに残ったベンジンは揮発してすぐに蒸発していきますのでその後の扱いも便利です。
ライターで火口を5秒ほど炙ります。
どんなに長く炙っても着火しないので、火がつかないと思って炙りすぎるのはやめましょう。
あと炙る時に本体を逆さまにするのは禁止になっています。
1分ほどでじんわり温か
火がつかないので本当に温まるか不安ですが1分ほど待ってみましょう。
だんだんと本体全体が温まるのがわかってきます。
その後は熱く
その後は本体がかなり熱くなるので専用の袋に入れてポケットの中などに入れましょう。
カメラマンがレンズの曇りを防ぐために使っていたり、かつては軍用車の部品を温めたり、聖火リレーの予備点火装置としても使われるなど、暖房器具以外の活用も行われており、例えば家庭用でもお弁当を保温するのにとかも使えそう。
エコ志向の海外で人気が出て再び日本に戻ってくるというのが皮肉な話ですが、これからはゴミ問題も考えていかないといけない時代なので今度は使い捨てカイロに変わるスタンダードとして再び日本で定着することを願います。