日本時間2021年4月21日深夜2時からスタートしたAppleのイベントにおいて、前々から噂されていたアップルの新小型デバイス「AirTag」の発表がなされました。
価格は単体3,800円(税込)/4個セット12,800円(税込)、予約受付は4月23日午前9時からで発売は4月30日。
この記事のもくじ
AirTagとは?
Appleが新たに開発したこの小型デバイス「AirTag」とはどういうものでしょうか。
大きさは直径31.9mm、厚さ8mm、重さはわずか11グラムのデバイスの中には最先端且つアップルらしいこだわりの技術が詰め込まれています。
これを何に使うのかというと実は単体では使うことができず、まもなく登場する「iOS14.5以上」を搭載したiPhoneとiPod touchi、「iPadOS 14.5以上」を搭載したiPadと連携させることにより、AirTagの場所を確認し探す事ができるデバイスです。
類似デバイスはすでに存在
実はこういった捜し物を見つける事ができるトラッカー系のデバイスはアマゾンなどで検索しても多数の商品が見つかり、Appleが一番のりをしたわけではなくむしろ後発の方です。
本当はかなり便利なはずの捜し物デバイスがいまいち流行らない理由があります。それが身近でないと探せないのです。
小さくてかばんに入れたりしても邪魔にならず、電池駆動でなおかつ低価格でないと意味のないデバイスなので、スマホのようにGPSを受信して所在地を自ら発信するなどの仕組みを持たせるのは難しく、結局4〜50メートルの範囲にある事が前提でしか使うことができず、それ以上離れると最後に電波が途切れた場所を教えてくれるなどの機能しか持たせられないのが現実でした。つまり部屋の中で無くした鍵を見つけるとかそういう使い方にしか応用するしかなかったのです。
そういう現状はAppleもわかっていたのでしょう。これから紹介していく機能を知ると発売まで時間がかかった理由がわかるはずです。
スピーカー内蔵
AirTagには小型でありながらもスピーカーが内蔵されています。これからバージョンアップされるiOS 14.5以降のiPhoneでは従来の「探す」アプリに新たに「持ち物を探す」という項目が追加されます。そこから設定するかSiriで「Hey Siri、○○を探して」と呼びかけると反応してくれます。おそらくこれが一番オーソドックスな使い方になるでしょう。
Bluetooth内蔵
本体にはBluetoothが内蔵されています。超広帯域テクノロジーが採用されたこのデバイスはもしAirTagが部屋の中や職場内といった近くの場所にある場合、iPhoneに正確な場所を距離と方向で示してくれます。
世界中のユーザーがお手伝い
今まで紹介してきた機能は既存のデバイスでも実現されている機能でした。ですがここから紹介する機能はとっても画期的です。
もしあなたが海外にでかけてバックを忘れたまま日本に帰国したらもうバックはあきらめるしかありません。でもそのバックにAirTagが付いていたらもしかしたら見つかるかもしれないのです。その紛失物探しをお手伝いしてくれるのがなんと世界中のAppleデバイスです。
まずはわかりやすく図を作成してみました。
紛失したバッグに付けられていたAirTagは、近くを通りかかったiOS 14.5以上で「探す」機能がONになっているiPhone所有者とBluetooth通信を行いその情報はiCloudへと送信されます。情報を受け取ったiCloudは紛失した所有者のiPhoneへとAirTag所在地を通知します。
実はこの仕組も他社製品でもあったのですが、あくまで同じ製品を所有しているユーザーどうしでの共有となり、億単位で世界中に存在するApple製品の数とは比べ物にもなりません。
要約すると蜘蛛の巣のように張り巡らされたApple製品ネットワーク内にAirTagが存在する限り見つかる可能性があるわけです。
バッグをひったくった犯人がiPhoneを所有しており、AirTagがバッグに付いていたがために自ら居場所を知らせてしまったなんてニュースが流れる日がもしかするとあるかもしれませんよ。
セキュリティもバッチリ
他人のiPhoneと通信をするので個人情報などセキュリティの面で不安があるかと思いますが、そこはさすがのAppleです。通信は最初から最後まで暗号化され完全に匿名で行われます。位置情報や履歴もAirTag内には一切保存されることもなく所在地は所有者のみしか確認できません。例えば道で拾ったAirTagをAppleに持っていったとしても所有者を確かめる事ができないほどそのプライバシーは徹底されています。
NFCで所有者確認も
デバイスにはNFCも内蔵されています。NFCとは電子マネーの支払いやApplePayでの支払いなど、iPhoneを端末に近づけるだけでデータのやり取りが可能な仕組みで、AirTagにあらかじめ設定をすることにより自分の連絡先情報を書き込む事ができます。発見してくれた人がAirTagにiPhoneをかざすとその情報が参照でき善意で連絡をしてもらえる可能性があります。
完璧に作り込まれたデバイス
こういたデバイスなのである程度タフでないと意味がありません。
IP67等級の耐水/防塵性能
本体はIP67等級の耐水/防塵性能を持っており最大水深1メートルで最大30分間耐えられる性能を有しています。例えば不用意にカギを海に落としてしまった場合も探せる可能性があるかもしれません。
バッテリー
本体はApple製品に珍しく電池駆動。コンビニでも入手可能な一般的なコイン型電池「CR2032」で、その駆動期間は1年以上という長寿命設計。本体にはLEDなどが内蔵されていないので電池寿命がわからないのですが、iPhoneに交換タイミングのお知らせが来るので安心です。電池交換はわざわざ修理に出したりAppleストアに訪れなくても自分で簡単に交換可能です。
紛失防止に以外にも活用
AirTagは紛失以外にもアイデアによって盗難防止にも役立つかもしれません。
例えば車の運転席やバイクに隠しておくとどうでしょう。万が一盗難にあった際運良くiPhoneが近くにあるとトラッキングされるので密かに所在地を確認できるかもしれません。
子どものかばんに付けておけば迷子の時に探す手助けにもなるかもしれませんし、ペットの首輪につける事も可能かもしれません。
ちょっとしたアイデアで活用価値は世界中で一気に広がりそうですね。
ここまでの技術を見てやっぱりAppleらしい独自性とセキュリティ性能、最新技術を駆使したデバイスであることがわかったはずです。
私も23日に予約をしてその価値を確かめてみるつもりです。