【新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に】22日まで、もう最後かもしれない

「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」を劇場で鑑賞してきました。

この映画、そしてこの組み合わせの上映はやっぱり最高ですね。

そしてこの作品が劇場で観られるのも最後かもしれませんね。

REVIVAL OF EVANGELION

1月8日から再上映が開始された本作は、そもそも1月23日から新劇場版の最終章「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開を見越して記念上映されたもので、それに合わせて1月22日までの期間限定再上映となっています。

元になっているのは1998年3月7日に公開された「REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」で、前年の1997年の春に公開された「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」と、同年夏に公開された「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」を同時上映した作品。

上映時間は160分で、DEATH(TRUE)2終了後にデカデカと「休憩」の文字が出て4分24秒の休憩が入るのも当時のままです。

この休憩の巨大な表示は黒澤監督の有名な作品「七人の侍」の同じく「休憩」のオマージュらしく、実際に作品を観るとカウンターは表示されないもののそっくりな休憩の文字を確認することができます。

ちなみに「七人の侍」はこのエヴァの160分よりもはるかに長い、1作品のみなのに206分という長さです。

それにしても普通なら5分というキリの良い数字にすべき休憩時間を4分24秒にするあたりも、エヴァらしいコッチ側よりも向こう側の都合にしてしまう姿勢は大好きです。

オマージュという部分では今更語るのもアレですが、極太明朝体(正しくはマティス EB)でL字表記にするテロップの表現も市川崑監督作品のオマージュですね。

日本の誇るべき映画作品がこうやって人気アニメの世界にオマージュされて、それが再びオマージュされていくのは日本の映像文化を廃れさせないとっても大切な役割を果たしていると考えます。

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DEATH(TRUE)2

1998年1月にWOWOWで放映された「EVANGELION:DEATH(TRUE)&REBIRTH」の「DEATH編(TRUE)」を更に庵野監督の意向に沿って再編集した「DEATH(TRUE)2」というエヴァらしいややこしい上映作品。

今作は過去のマスターを修正無しに使っての上映のようで、全編通してノイズが目立つ映像でした。

ただそれが残念かというと、制作された時代などを考えるとそこまでは思わなかったのですが、現代の高画質作品を見慣れた若い方々は気になったかもしれません。

ちなみに今でこそ日本の新作映画で「映画名+制作委員会」という、いわゆるスポンサーの集まりのテロップを頻繁に目にすることは当たり前になっていますが、真意については定かではないものの一般的なレベルまで引き下げたのが今作と言われたりもしています。

WOWOW放送での(TRUE)編以降、企業ロゴの後に表示されるテロップ「これが、『EVANGERION:DEATH』の本来の姿です」の「EVANGERION」の綴り(本当はEVANGELION)の間違いがあるまま今回も上映。

もうこれは1つのエヴァのカタチとして直されることは無さそうです。

もしくは庵野監督が通常のエヴァではなく、こっちは「EVANGERION」だと意図してやっている可能性も0では無いかもしれない。

ただの間違いと思えないのがエヴァである。

難解な総集編

そもそもこの作品は総集編を作りますってことで封切られた映画でした。

で、できあがったのがコレ。

今でこそエヴァらしくて評価されてもいる今作ですが、当時は批判も相当あったみたいです。

観てない人向けに今作を解説すると、TV版のストーリーの時系列を完全に破綻させて、繋ぎ合わせた作品でしょうか。

しかもビデオの発売もシト新生が上映された当時で26話中20話までで、放映後にエヴァ人気に便乗した人は当然の事ながら、TVシリーズを全編通して見たファンまでも混乱させたことは容易に想像できます。

今となっては動画配信サイトでエヴァTV版を全作簡単に見る事が可能になっていて、こういった独自の編集スタイルも受け入れられる時代となったこと、「エヴァらしさ」というフォーマットにユーザーが教育されたこともあって昔よりかはみんなに理解されやすくなったと思います。

そもそも最初のシト新生の頃から新作カットやTV版の描き直しも含まれ、単にTV版を切って繋いだだけでは無かったものが、TRUE版では不要カットの削除やさらにカットの追加、音声の変更なども経て、TRUE2版でもさらに手を加えるという手間とこだわりも詰まっていて、次の完全新作である通称夏エヴァにシームレスに繋がるよう(リリスの足とかゲンドウの手に移植されたアダムとか)考えられている部分もあり、後に発売されたビデオフォーマット版にもそれらのシーンが反映されています。

噛むほどに味が出る

それにしても今作の編集はよくできています。

1回観ただけでは実感するのが難しいのですが、TV版も最後まで見て、劇場版も2作品見終わって、それで何回も見直すとこの作品の持つテンポ感や独特の空気感を感じられるようになってきます。

これは苦いだけのコーヒーが、経験によって深みや香りを理解できるようになる感覚みたいなもんでしょうか。

ちゃんと観るとそれぞれのキャラクターに焦点をあてて編集されており、単に破綻した映像でないことが確認できますし、各エヴァの機体が活躍するチャプターでは象徴する楽曲をテーマに、効果的にテロップを挿入することでテンポ良くMVのように編集されていて気持ち良い限りです。

テロップで時系列が語られたりも親切だし、変なナレーションを入れられるより世界観の統一ができるし、何よりもTV版を時間軸に横一列に並べた映画だったら、もしかして「TV版を並べただけのつまらない映画」なんてレビューされていたかもしれません。

私は映像編集の仕事なんかもたまに引き受けてやっていますが、もしああいう風に編集しろって言われたら絶対やりたくないですし、できたとしてもセンスのかけらも無いただのシャッフル作品になるでしょうし、あのセンスは絶対に超えられないです。

そして編集の良いお手本にもなっている作品です。

Air/まごころを、君に

1997年7月に公開された「The End of Evangelion 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」(通称:夏エヴァ)のそのままが後半の上映パートです。

TV版の「第弐拾伍話」と「最終話」が時間不足のためにアレなことになってしまったので劇場版として作り直したもので、TV版は漢数字、劇場版は英数字で第25話・第26話と区別されています。

タイトルの「Air」は劇中で弐号機がエヴァシリーズと戦いを繰り広げるシーンでBGMに使用されたバッハのクラシック楽曲「G線上のアリア」の海外表記「Air on the G String」から、「まごころを、君に」はダニエル・キイスのSF小説「アルジャーノンに花束を」の映画化作品の和名「まごころを君に」から名付けられていて、庵野監督のSF作品の最終話がSF作品からオマージュされることは既知の事実で、TV版エヴァの最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」もハーラン・エリスンの短編小説「世界の中心で愛を叫んだけもの」からオマージュされ、最新作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」もメインタイトルこそエヴァですが、副題が「THRICE UPON A TIME」でジェイムズ・P・ホーガンのSF小説「未来からのホットライン」の原題をオマージュした物では無いかと一部で囁かれています。

TV版には無い表現

夏エヴァはとにかくTV版では表現できなかったシーンがてんこ盛りで、冒頭数分でシンジの自慰や精液、レイやアスカの裸体、リリスとレイが同化し巨大化した額に初号機が侵入するシーンで避ける傷があからさまに女性器のカタチだったり(実際アレも表現されている)、シンジがミサトと加持のSEXシーンを見ているシーンなどの性表現や、作品前半の戦略自衛隊の殺戮、火炎放射器や助けを求める隊員を容赦なく銃殺、そして弐号機の無残な姿など残酷表現も多数登場。

後半では映画館で鑑賞するオタクたちを実写で映し出し、目を覚ませと煽ってくるシーン。

それに映画ポスターのキャッチコピーが「だからみんな、死んでしまえばいいのに…」ですよ。

ちなみに1週間早く封切られたスタジオジブリの「もののけ姫」のキャッチコピーが「生きろ。」と正反対。

当時は映画のレーティングも今のように「R15+」みたいなのも無くて一般映画制限付と成人指定くらいしか無かった時代なので、TV版よりも庵野監督の意向に沿った最終話が描けたのかもしれないですね。

公開翌年の5月以降には映画のレーティングについても見直しが行われているので、数年遅ければまた違った表現をせざるを得なかったかも。

高速場面転換の連続シーンもピカチュウ光線の事件があるので今では難しいでしょうね。

でも、巨大化したレイが制服姿だったり、戦自が遠くからパンパン銃を撃っているだけのシーンとかやっぱり違和感あるだろうし、シンジの自慰も思春期の男の子の制御できない精神状態や自己嫌悪を描く上ではやっぱり必要なんだと思えます。

2014年深夜にたった1度だけ地上波で放送された時にはかなりのシーン(特に人類補完計画以降のシーンはたくさん)が真っ黒になって音声とテロップのみになるなどある意味伝説的な放送となりましたが、動画配信サイトやパッケージ作品では規制もお断りもなく未だにそのままが観られるのはありがたいです。

ただこれも時間の問題かもしれませんけれど。

スクリーン上映も最後かも

さて今回の「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」も劇場のスクリーンで観られるのも最後かもしれません。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」も上映されると次は無いでしょうし、可能性としては2025年がTV放映30周年記念なのでこの時に上映されるかもしれませんが、そこで記念上映するなら序〜シン・エヴァまでのイッキミ上映かなぁと。

そういう意味もあって最後のつもりで劇場に足を運んだわけです。

1998年の「REVIVAL OF EVANGELION」は劇場で4回、そして今回のを足すと合計5回劇場で観ましたが、それでも満足できていない、もう販売されているやつで良いと思わないのはやはりこの作品の持つ圧倒的なパワーのせいなんでしょうし、劇場に来ていた同志も同じように何かを感じて訪れ、そして変わることのないエンディングのあの一言を聞いて呆けて帰るという小気味良さを求めてるんでしょうね。

「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」は明日22日までの上映。

チャンスのある方は劇場で。

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