【警告】
このブログには「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のネタバレが含まれており、すでにご覧になられた方へ物語の内容をより深める目的で記載しています。
物語のラストシーンに関する部分にも触れているため、ご覧になられた後で読まれる事をおすすめします。
新たな情報が判明され次第随時記事を追加しています。
この記事のもくじ
遂に公開された最終章
2021年3月8日、テレビ放映開始から26年間続いてきたエヴァンゲリオンがコロナの影響で2度の延期を経て公開、そして遂に本当の終劇を迎えました。
今回の映画にもエヴァらしく様々なオマージュや謎が散りばめられていましたが、その中でも庵野秀明監督にちなむシーンも幾つか含まれていました。
山口県
映画のラストシーンでは大人に成長したシンジとマリが駅で会話を交わすシーンが登場し、そのまま実写の空撮映像でエンディングへと向かいます。
ここで登場するのが山口県宇部市の「宇部新川駅」。
その他にも工場と橋が見えるシーンなどが劇中で出てきましたが、恐らくこのシーンも宇部市にある「宇部興産」かと思われます。
私は今回の映画を山口県のシアターで観ていたのですが、映画の中に見慣れた工場の景色が実写で登場し、田舎のシアターでは珍しく70%ほど埋まった観客の空気が一瞬張り詰めたのが印象的でした。
宇部出身の庵野監督
庵野監督と言えば山口県宇部市の出身で恐らく高校生くらいまではそこに住んでいたのではないでしょうか。
山口県と言えば海沿いに広がる工場地帯が有名で、高台にある私の家の庭からも工場の景色や高い煙突から炎があがる景色を日常的に見ることができます。
Googleストリートビューでも映画に登場したような工場と橋の景色を見ることができます。
私の場合は結婚してから引っ越したので新たな土地の新鮮な景色として見ていますが、宇部で生まれた庵野監督にとっては生まれたときから馴染みのある風景として見てきた事でしょう。
庵野監督の作中に工場の無機質なシーンや、エヴァでも無機質なパイプなどのシーンが登場しますが、子どもの時の影響からかもしれません。
宇部新川駅
最後に登場する「宇部新川駅」は監督が日常的に使っていたのかは不明ですが、田舎なので鉄道は限られており駅も多くあるわけではありません。
わざわざ映画の中で実写でも出すくらいなので利用していた駅であると考えて間違いないと考えますが、エヴァという映画からすると少し違和感のあるシーンです。
もしこれが「彼氏彼女の事情」のラストシーンなら別に違和感も無いのですが。
もし深堀りして考えるなら監督の中でも長く携わった作品で、人生の一端の区切りを付けるために自分の生まれ育った土地に戻り、鉄道という出発をイメージするシーンで終劇することで、監督自身もスタッフも追い続けたエヴァファンも新たな出発をしましょうという意味があったのかも。
前回の終劇である「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」では「オタクよ現実に戻れ」というメッセージがあったと言われていますが、新劇場版の公開もありオタク層だけでは無く一般のエンターテインメント層にもアプローチしていた作品に変化していった事もあり、優しいメッセージ性と終わり方に落ち着いたのかもしれません。
シンジの誕生
※2021年3月16日追記
2回目の鑑賞で気づいたのですが、後半シンジとゲンドウの対峙シーンがありますが、その中でシンジの誕生シーンが描かれています。
その時に一瞬映るのが工場の実写映像。
おそらくこの工場も宇部興産かと思われますが、もし他のアニメであれば違和感ありまくりで編集ミス?なんて思ってしまいそうで、今回のシーンも無知識でエヴァを観た方は意味不明の違和感あるシーンだったかもしれません。
シンジの誕生と宇部の工場(と思われる)シーン、深読みするなら庵野監督の誕生とかけ合わせたのかもしれず、シンジくんは庵野監督の身代わりとして誕生したと描いているのかもしれませんね。
獺祭
※2021年3月16日追記
先日の「Prime Videoプレゼンツ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ同時視聴イベント」で、「なんで獺祭やねん」というツッコミもありましたが、獺祭(だっさい)は山口県岩国市で旭酒造が作っている吟醸酒で、一時期入手困難になったほど人気のあるお酒で海外でも評価が高まっています。
ゴルゴダオブジェクトに入り込み過去の記憶を遡る中、初号機vs13号機のバトルでミサトさんの家が登場しますが、獺祭の瓶が並べられたシーンが登場します。
庵野監督は獺祭が好きでよく飲んでいたそうで、もしかしたら故郷を懐かしんで飲まれていたのかもしれません。
エヴァ制作の中では様々なスランプもあったようで、その中でお酒の力も借りたかもしれませんが、ある意味で庵野監督のエヴァ制作を獺祭が支えてきた部分もあるのかもしれず、好きなモノを作品内に反映してきた監督ですから必然的に獺祭も登場することとなったのでしょう。
オレンジ色のガードレール
※2021年3月27日追記
第3村の場面でオレンジ色のガードレールが登場します。
実はこのオレンジ色のガードレールというのは山口県の名物の一つとなっていて、1963年に山口国体が開催される際に山口県の名産品であった夏みかんの色に例え彩色されたもので、山口県民にとっては誰でも知っており見慣れた景色の一つです。
棚田
※2021年3月27日追記
シンジが心をふさぎ込んだまま家出をするシーンで棚田が登場しますが、山口県の各所では美しい棚田の風景がいまでも残っています。
第3村で見られる古民家やオレンジ色のガードレール、棚田など、シンジが歩いて旧ネルフ本部跡地に訪れているので第3新東京市(箱根)付近であることは想像できますが、描かれた世界観としては山口県の田舎の村というイメージが多く反映されているのかもしれません。
キリスト
エヴァと言えば、「使徒」「ロンギヌスの槍」「裏死海文書」「アダム」「セフィロトの樹」など、キリスト教の引用が無数に散りばめられた作品であるというのは説明するまでも無く有名な話です。
とはいうものの庵野監督はキリスト教信者では無く、物語に厚みを持たせるためキリストに関して様々に調べ作品を作り上げていったそうです。
賛美歌
映画のクライマックス、「エヴァンゲリオン・イマジナリー」が巨大化しアディショナル・インパクトが発動するシーンでは賛美歌である「Joy to the World」がBGMとして使われています。
日本でのタイトルは「もろびとこぞりて」で、クリスマスソングを代表する1曲です。
この時期になぜここに来てクリスマスソングなのかと疑問に思った人もいるかもしれません。
クリスマス発祥の地
宇部新川駅から電車で40分ほどで山口市に到着します。
山口市は1500年代にクリスマスが初めて日本に伝わった地だと言われており、「山口サビエル記念聖堂」も日本で初めての常設教会だと伝わっています。
名前からもわかる通りフランシスコ・ザビエルが大名のサポートを受け布教活動を行ったのが始まりで、山口県への文化の影響力も大きかったようです。
山口市のシンボルだった聖堂は1991年に残念ながら火事で焼けてしまい、現在は当時の姿とはガラッと変わってしまいましたが、今でも変わらず山口市民に馴染みの深い場所となっています。
山口市からも遠くない場所に住んでいたので、近くでミサがあったり、クリスマスはキリスト色が強かったり、近くにキリスト教信者が住んでいたり、もしかしたら子どもの頃から何かしらキリスト関係の事を見聞きしながら育ってきた可能性もあります。
今回映画内で賛美歌が使われたのも山口県がクリスマス発祥というところからの採用かもしれませんし、監督の心に何かしら残っていた記憶の断片なのかもしれません。
もし聖地巡礼をする方がいるならこの教会も訪れてみると良いかもしれません。
近くには山口市のB級グルメである「バリそば」もあるのでぜひ。
ここまではあくまで私の考察なので実際とは異なると思いますし、今後も映画について監督も語ることは無さそうなので答え合わせも難しいですが。
今回紹介したような土地や文化の中で庵野監督が育ち、そしてエヴァンゲリオンという空前のヒット作が生まれた事は事実。
コロナが収まり映画のような平和な日常が訪れたら宇部に聖地巡礼も良いかも。
また違ったエヴァの側面を体感できるかもしれません。