家族で那智勝浦まで行ったので車で数キロ先の「太地町立くじらの博物館」(たいじちょうりつ くじらのはくぶつかん)へ。ここは日本で唯一クジラ専門で学べる博物館で、それ以外にもここでしか見られない種類のイルカショーが見られたりもします。
この記事のもくじ
和歌山県太地町
太地町は和歌山県でもかなり下の方で交通の便が決して良い場所ではありません。詳しくは近くの那智勝浦の宿泊記事を見てもらえればわかるのですが、なかなか気軽に行ける場所でないだけに逆に行く価値を感じられる場所でもあります。
漁港の町で400年ほど前から捕鯨が始まり盛んになりましたが、時代と共に捕鯨規制がかかり大型のクジラを捕獲することは今は無くなりましたが、小型クジラの捕鯨は今でも行われておりスーパーでも鯨肉を購入することが可能です。また一時期動物愛護団体の妨害などで有名になったイルカ漁が日本で唯一残る町でもあり、追い込み網漁はいまでも行われています。
太地町立くじらの博物館
こういった経緯もあり1969年「太地町立くじらの博物館」がオープンし、太地町は「くじらの町」として盛り上げていて、道路を走っていても至るところでクジラのオブジェクトやモチーフにした看板などを見ることができます。
くじらの博物館と言われてみてもなかなかニッチなテーマなので心踊りにくく、実際博物館の規模もそれほど大きくないので旅行の選択肢として外れそうですが行ってみるとなかなか興味深い施設です。入館料は大人1,500円と若干高めですが、それなりに希少価値のある施設ですしイルカショーも見られるので妥当な金額でしょう。お休みは無くて年中無休なのはなかなかすごいです。
施設は3階建で中央部分は吹き抜けになっているので実質展示部分は外周エリアのみとなります。ただこういう構造になっているのは理由があって、巨大なクジラの標本を飾るのに必要不可欠な吹き抜けなのです。とにかく館内に入って圧倒されるのが天井から吊るされた巨大なクジラの標本。
この標本ちゃんとした本物で、体長15.2メートルのセミクジラや大阪湾で捕獲されたホッキョククジラの子どもの骨なんかはかなり珍しい物だそうです。
1階:大ホール
1階は大ホールになっていて、常設展示とその時に応じた展示が混在して並べられています。「太地町古式捕鯨ジオラマ」という当時どうやって捕鯨をしていたかのジオラマを映像と共に学べるエリアもあります。
子どもはジオラマに目が行くし、当時のことをリアルに見せるにはこれはなかなか役立ちました。
1階にはみんな大好き物販フロアもあります。
2階:生物学的にみたクジラ
2階部分は「生物学的にみたクジラ」をテーマにした展示と企画展の展示スペース。ここから一気に博物館ぽくなって面白くなります。まず目を引くのが吹き抜け部分に飾られたセミクジラの実物大模型。
この模型実際のクジラの各部位から型を取って作られた珍しい物らしく、とにかくクオリティには力を入れている博物館です。それにしてもこんな大きな生物が海の中にいるなんて驚きです。
ここで面白い展示がクジラの進化の過程。
勝手な想像では海の小さな魚が進化して巨大化していったように考えがちですが、進化する前の初期のクジラはイヌみたいな4本足の動物で地上で生活していたそうです。それがだんだんと進化して水棲生物に進化し最後はあんな大きな動物へと変わっていくわけです。ここに来なければ一生知ることが無かったかもしれません。
このフロアには他にもなかなか目にすることがないであろう標本も見られます。
クジラのひげなんて聞いたことがありますが、その実物断面標本なんかも見られるのはこの博物館ならでは。その迫力に圧倒されます。
3階:人とクジラとの関わり
3階は「人とクジラとの関わり」をテーマに、博物館ではよくあるどうやって私達の暮らしに溶け込み役立って来たかを伝えるコーナーになっています。丈夫なクジラのひげを用いた製品や捕鯨道具などの展示があります。
現代に向けて最初は木でできた物がだんだんと近代的になっていくのも確認することができます。
イルカショー
施設には展示コーナーと合わせて「イルカショー」と「クジラショー」も見ることができます。実はここで飼育されている「スジイルカ」は国内で見られるのはここだけ。理由は単純でスジイルカがかなりい神経質で飼育するのが極めて難しく、過去も数箇所の水族館で飼育した事例がありましたがいずれも短期間しか無理だったそうです。なので「触ったら死ぬイルカ」なんて言われているそうですよ。例にもれずココでも過去に飼育した際はわずか4日という期間にとどまり徐々にその日数を伸ばしていったそうです。現在は「カマイルカ」をメインに「スジイルカ」が芸をするのも見ることができます。
今回は大雨で断念したのですが、イルカタッチとかもできるのでぜひオススメします。
水族館と違ってなかなか行ってみようかとはなりにくい施設であるのは確かですが、実はここでしか見れないものもかなりあってもっと話題になっても良いくらいの博物館です。現在はコロナの影響もあり動きにくいですが、また状態が収まったら「熊野本宮大社」や「那智の滝」などと合わせて立ち寄ってみられることをおすすめします。