【シン・エヴァンゲリオン劇場版】登場する言葉の意味を調査してみた

7月で上映が終了し、長きにわたるエヴァンゲリオンの世界も遂に終劇となったエヴァンゲリオン・シリーズ。早々に8月13日から「アマゾン・プライム・ビデオ」で最新作「シン・エヴァンゲリオン劇場版」プライム会員向けの見放題作品として配信開始されていますが、日本語においても字幕付きで配信されています。つまり難解な言葉なども字幕によってより理解しやすくなったわけですが、それでもそこはエヴァ。字幕を見てもわからない言葉が溢れています。そこでこの記事ではシン・エヴァに登場する様々な用語言葉などの意味を調べて順次掲載していきます。

なお、エヴァの世界はほとんどが説明もなく進んでいき、解釈も多岐にわたるため考察も含めた個人的解釈も散見されると思いますが、そこはあくまで参考意見にとどめていただきより作品を深く理解するための手がかりにしていただければと思います。

ユーロネルフ本部

物語の始まりとなるのがユーロネルフ本部での市街地戦。まずはここで出てくる用語等について調べていきます。

マリの歌

プロダクションロゴが表示されている段階から最初に流れてくるのがマリの鼻歌。歌っているのは「真実一路のマーチ」「世界は二人のために」の2曲。

庵野監督曰くマリに鼻歌を歌わせるのはナレーションの代わりを担わせる役割があり、歌詞の内容でその状況を説明しているということだそうで、選曲については監督が好きな曲をチョイスしており、よく聞いていた曲でないと表現できないという部分からも選曲されていますが、権利関係の大人の事情から使える曲というのも選考理由になっている。

真実一路のマーチ

1969年10月に発売された水前寺清子の29枚目のEPレコード(今で言うシングル)。

ミリオンヒットとなり現代でも歌い継がれ、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の5号機搭乗時でも歌っていた「三百六十五歩のマーチ」と同じく、作詞:星野哲郎、作曲:米山正夫、編曲:小杉仁三によるもので、劇中では1番部分がアカペラで歌われている。

エヴァの呪縛によって人一倍長い人生を送ってきているマリの心情を「この世は長い坂道だけど 長さじゃないよ人生は」という歌詞で表現し、「真実一路」というタイトルや歌詞の通り真実を常に突き通していくという部分を描いているのかもしれません。

世界は二人のために

1967年5月に発売された佐良直美のデビュー曲。明治アルファチョコレートのCMソングとして使われた楽曲をアレンジして楽曲としてリリースした作品で、当時CMを見ていた監督の記憶の中にこの歌が残っていたのかもしれません。

劇中で使われたのは1番と2番の歌詞で、連続して登場する「あなたと二人」「二人のため世界はあるの」という歌詞はそのままエヴァの世界感とマッチしているのは説明するまでもないです。

パリ カチコミ艦隊

シーンが始まりエッフェル塔を下から見上げるシーンで青葉シゲルによって無線通信で発せられるのが「パリ カチコミ艦隊は健在」という言葉。

「カチコミ」というのは例えば暴力団とかマフィアとかちょっと危ない組織が敵対組織に集団で殴り込みにかかるような事らしく、ストレートに直訳すれば「殴り込み」で良さそうです。艦隊とは複数の軍艦を表すので、パリの殴り込み艦隊みたいに理解しても良いかも。

DSRV

先程の無線通信で続いて出てくるのが、「エヴァ8号機およびDSRV 目標地点へ降下中」というセリフ。

「DSRV」とはDeep Submergence Rescue Vehicle」の頭文字を取ったもので「深海救難艇」のこと。ヴィレのクルーを乗せて8号機と共に降り立ったのがDSRVとなる。ちなみに本機の脚部には「MAGNO GRIP」と表記されており着陸時は引き寄せられるように降り立っており、その後のセリフでも「脚部吸着システム」「船体の固定完了」と言っているので磁力により吸着固定する仕組みになっていると考えても問題ないはず。

柱が立つ場所

DSRVが降り立ちリツコたちが作業を行った場所は南にまっすぐ伸びる通りや南東に見えるエッフェル塔、同じ場所から斜めにまっすぐ伸びる通りなどから「ヴィクトル・ユゴー広場」だと推測します。

L結界密度

前作「エヴァンゲリオン新劇場版:Q」のラストで初めて登場した「L結界密度」というワード。今作でもリツコが「L結界密度が予想よりも高い」と語っています。

L結界密度が高すぎる場所でヒト(リリン)が活動することは不可で、システムが動作を停止し封印が解かれた船内のL結界密度が高まり冬月がLCL化してしまうシーンが登場するということから、L結界密度の「L」は「リリン(Lîlîn)」「L」を表していると考えても間違いないはずで、「リリン結界密度」つまり、ヒトが活動できないほど密度が高まったエリアを表していることになります。ちなみにL結界密度が高まったエリアはコア化してしまい物質が赤く変色してしまう性質を持っているようです。

封印柱

続いてリツコが語るのが「ユーロネルフ第1号 封印柱」というワード。

後に登場するケンスケの説明によると「相補性L結界 浄化無効阻止装置」というもので、黒い巨大な円柱に「使徒封印呪詛文字」が赤く表示される仕組みになっている。ちなみに「呪詛」(じゅそ)というのはいわゆる呪いのこと。

未だ解明されない未知のシステムで作動しており、人間のプログラムでは制御に困難を極める。

「相補性」というのはけっこう難しい言葉なのですが、関連のある2つの事象が補完し合うという感じでしょうか。なので勝手な解釈ですが、コア化していく大地とそれを浄化しようとする自然の浄化という2つの事象の中で、自然の浄化を無効ににすることを阻止している装置という解釈をしてみました。

なお封印柱は大地のコア化を防ぐだけでなく、徘徊する首なしエヴァが入ってこれなくする結界としても機能しているもよう。

アンチLシステム

柱の上で作業しているマヤが発する「アンチLシステムは起動できそう?」というワード。

封印柱を作動させコア化したパリの町を正常化させるためにアンチLシステムの機動が必要でした。

「アンチ」は反対や対抗を表す言葉で言葉そのままに「アンチL」だと「アンチ・リリン」という意味になりヒトを排除するシステムになってしまうので、正しくは「アンチL結界システム」を略したものだと考えられます。

ここから推測するに、封印柱は物質的な呼び名でその仕組みとしてアンチLシステムが作動していると考えて良さそうです。

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リドゥー

アンチLシステム機動の問いかけに対して「ステージ4からのリドゥーでいけそうです」と返答したワード。

「リドゥー」というのは取り消しである「アンドゥ」の対となり、取り消した動作を再び実行することを指します。

作中では「ステージ4からのリドゥー」と、つまり一度取り消されたステージ4の取り消し解除を行ない実行すると言うことが語られており、その後「前任者のおかげですよ」「あなたたちの思いは引き継ぎます」というセリフと共に「後をお願い」というメッセージが残されていたので、予想するにパリの隊員たちはステージ4まで頑張ったもののコア化していく街の速度に勝つことができずLCL化してしまったか、そこから退避したのかもしれません(冒頭に出た「カチコミ艦隊は健在」というところから推測)。

エヴァ44A航空特化タイプ

パリで作業するヴィレ・クルーに攻撃を仕掛けてくるのが「エヴァ44A航空特化タイプ」ちなみに44Aは「フォーツーA」と読みます。

航空特化と言われるだけあってまるでドローンのごとく空を縦横無尽に飛行することができ、フロントには使徒の仮面が2つ、そしてそこからロンギヌスの槍のコピーと思われるものも取り付けられています。対ヴィレ兵器としてゲンドウが大量生産したようです。

リツコが「見事な単縦陣」と語っているように、縦一列に整列するのが特徴的で、アリの群体のように自ら構成することに「もはや新たな生物」とも語っています。

見た目的にはミサイルの一つも打ってきそうですが主な攻撃は体当たりで、それも群体となって体当たりをしてくるので攻撃力は大きいものと考えられる。攻撃方法が簡素なのは実はこのエヴァがオトリであったためで、本体登場前にダメージを与えたり時間稼ぎをする目的で投入されたもよう。

8ビットのマイコン

時間のかかるアンチLシステムの復元作業に「まるで8ビットのマイコンみたいだ」と発したワード。

クルーが使用しているのはパナソニックの「TOUGHBOOK」と名付けられた防水・防塵性能を備えた工事現場で使用できるようなPC。その中でも液晶の左右角度を変えられるヒンジを搭載した「CF-19」というモデルで、2010年ごろに発売された随分前の機種で、今なら中古で3〜4万円程度で購入可能。

ネルフと決別し世界が崩壊しコア化していく中で産業などの発展も無くなり物資も限られる中で、手元に残った古いPCを大切に使い続けているのでしょう。

「マイコン」というのは「マイクロコンピューター」の略で、マイコンは例えば炊飯器だったり冷蔵庫だったり洗濯機だったりと、家電の中に組み込まれていたりします。その中でも8ビットというのは1回で256までの数字を演算できるということで、流石に使用しているPCは32ビットなので額面通りに受け取ることはできないものの、ヴィレのクルーたちのスキルに比べてPCの性能やスピードが追いついてこず、皮肉や揶揄した言い方をしたものだと考えれます。

Many a small bird drive away a hawk.

44Aが次から次に押し寄せてきてつぶやいた英語が「Many a small bird drive away a hawk.」。訳すると「たくさんの小鳥で鷹を追いやる」というような言葉になり、直前につぶやいた「多勢に無勢」ということわざを英訳したものもこの言い方をするようです。なので同じことを日本語と英語で重複してつぶやいたということになりますが、実際のセリフでは「まさに ”Many a small bird drive away a hawk.“ね」とつぶやいており、44Aをたくさんの小鳥、8号機を鷹と例え、まさに英語で表されたとおりという意味ねという使い方をしたのでしょう。

バイパス

時間のない中でPCの作業を行うクルーたち、その中でマヤが指示を出したのが「バイパス増やして!」というワード。

バイパスというのは国道などでもよく見かけますが「迂回路」のこと。ステージ4から5へ以降するためショートカットなどを探すクルーに対して指示したのがこれで、効率よく次のステージに進むため迂回するプログラムを増やすよう指示したのでしょう。ただしバイパスを増やすのも手間と時間がかかるため男性クルーから指摘を受けています。

陸戦用4444C/電力供給特化型44B

44Aが実はオトリで「ボスキャラ」として登場する本体が「陸戦用4444C」「4444C」(フォーフォーC)と読みます。

陽電子砲を装備しており、軍事転用を禁じているにも関わらずバチカン条約に違反して製造されたエヴァである。4444Cは単体では攻撃する術を持っておらず、「電力供給特化型44B」(フォーフォーB)と対で動作する仕組みになっている。

4444Cは触手型の駆動部を回転させて移動し、台座の上に4体のエヴァが乗っかり陽電子砲を支える形になっている。

44Bは大出力電力放電装置及び発電システムを胸部から下のみ作られたエヴァが2体で支えており、兵隊のような歩き方で移動することが可能。

「ヤシマ作戦」では日本中の電気を集め充電してポジトロンライフルを発砲していましたが、複数の44Bが発電し4444Cへエネルギーを放電し電力を確保するというポータブル充電的な方法で攻撃を行うことが可能。可動式で電力もその場で生み出し攻撃可能という使徒との戦闘での教訓が十分に活かされた兵器であると言える。

アジャパー

陽電子砲を打ち放った4444Cに向けてマリが言ったセリフが「次 撃たれるとアジャパーね」というワード。

「アジャパー」という言葉はNHKのドキュメントでも庵野監督が発していることを聞くことができる。

元となる言葉は喜劇俳優の伴淳三郎が1951年公開、監督:斎藤寅次郎の「吃七捕物帖」という映画の中で「アジャジャーにしてパーでございます」という映画のセリフを略したものと言われ、山形県の方言に独自の節を入れたもののようです。

シチュエーションとしては「驚き+困惑」を同時に表現する時に使い、今回のシーンでもその威力と次は後がないという焦りから出たものでしょう。

Excusez-moi, Eiffel

4444Cにマリがエッフェル塔をねじ込むシーンで発するフランス語が「Excusez-moi, Eiffel」

英語に訳すると「Excuse me, Eiffel」、日本語だと「エッフェル塔、ごめんね」といった感じ。

アルゴリズム解析/C言語にシフト

4444C殲滅後順調に処理が進んだようでクルーから「アルゴリズム解析」の報告が伝えられます。

アルゴリズムは特定の問題を解くための手順であり、ここでいう解析はL結界システム作動への道筋を見つけたという事になるでしょう。

次に「C言語にシフト」されますが、「C言語」は1972年に開発された自由度が高く汎用性の高いプログラミング言語で、未知の存在で人間には未解の封印柱を起動するためのL結界システムのアルゴリズム解析が完了し、汎用的なC言語を代替としてプログラミング可能になったことを現していると考えられる。

その証拠としてわずか30秒しか残されていない制限時間の中わずか19秒という急速処理が行われ、封印柱を無事に起動させることができました

オーバーラッピング対応型8号機

封印柱の起動後、マリがユーロネルフに保管されているパーツを眺めながら「オーバーラッピング対応型8号機への改造ができるニャ」とつぶやきます。

「オーバーラッピング」は英語の「Overlap」の重なる・重なり合わせるという言葉から来ており、ここで新たなパーツを入手し改造された改8号機は他のエヴァを捕食しその能力を取り込むことが可能になりました。


今回はここまで!

以降は順次追加していきます。